セレンディピティ 〜「ふわりずむ」と「ハッピ〜エフェクト!」に見る宮尾美也の幸福観〜[#imas_この曲語らせて]

この記事は、マスニキさん主催「#imas_この曲語らせて Advent Calendar 2018 - Adventar」22日目の記事です。

21日目は伊藤伸恵さんの「【アイマスDS/sideM】#imas_この曲語らせて 羽ばたきのMy Soul〜秋月涼の過去について | 伊藤伸恵の旅人同盟Side Diary」でした。

秋月涼、かっこいい男の子なんですよ。かわいいけど。どっちもすき。

はじめに

この記事では、宮尾美也のソロ曲、「ふわりずむ」が「セレンディピティ」の歌であることを述べ、「ハッピ〜エフェクト!」の歌詞も引用しつつ、宮尾美也の幸福観についても考えていきます*1

要約

「ふわりずむ」とは

宮尾美也の3つ目のソロ曲です。ミリオンライブのCDシリーズ、MASTER SPERKLEの5枚目に収録されています。

ふわりずむ

ふわりずむ

セレンディピティとは

セレンディピティ」という単語、普段は耳にしない言葉ですが、シンデレラガールズ5thライブのテーマでもありましたので、ご存知の方は多いかと思います。公演中ではわかりやすさ重視で「奇跡」と説明されていたように記憶していますが、正確にはどのような意味を持つのでしょうか。Wikipediaにはこんな説明があります。

セレンディピティ(英語: serendipity)とは、素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。平たく言うと、ふとした偶然をきっかけに、幸運をつかみ取ることである。

端的にいうと、セレンディピティとは「(幸せを追い求めるのではなく)偶然に、幸運や幸福を見出すこと」と言えそうです。

「ふわりずむ」とセレンディピティ

いよいよここからが本題です。「ふわりずむ」の歌詞から抜粋して見ていきましょう。

知らないセカイで見つけた小さな蕾
私の音色で呼んでみて咲かせたい

何があるのか予想できない「知らないセカイ」で「小さな蕾」、つまり幸福のタネをみつけ、「私の音色」で「咲かせ」てみよう、と言っているわけです。 「偶然に幸福(のタネ)を見出」していますね。

ドラマティックよりも日常の奏で
小さな幸せたくさん響かせたい

こちらの歌詞では、対比を使ってよりはっきりとセレンディピティを主張しています。「ドラマティック」でわかりやすい幸福よりも、「日常の奏で」、つまり日常にあるけれども見落とされがちな、「小さな幸せ」をたくさん見つけていきたいというわけです。

余談ですが、宮尾美也を含む5人が歌う「オーディナリィ・クローバー」にも、セレンディピティな一節があります。

きっと、気付いてないだけ
幸せって三つ葉のクローバー
特別じゃない、ありふれてるの*2

特別な「四つ葉のクローバー」よりありふれている「三つ葉のクローバー」に幸せを見出していこうと言っていますね*3

オーディナリィ・クローバー

オーディナリィ・クローバー

偶察力(セレンディピティ

セレンディピティは「偶察力」と訳されることがあります。読んで字のごとく、「偶然(から生じる幸運、幸福)を察知する力」ということですが、つまりは「偶然」だけではセレンディピティは成立せず、現象から幸運・幸福を「察知する力」、「洞察力」が必要ということになります。

少し話は変わって、宮尾美也の特技がなにか、ご存知でしょうか。「視力がよいこと」です。単純に遠くのものが見える、ということももちろんありますが、少し広げて考えてみると「目が良い」「観察力がある」、つまり「洞察力がある」ということにも繋がります。

これはこじつけというわけではなくて、実際に宮尾美也の洞察力を示す具体的なエピソードがあります。 GREE版ミリオンライブのイベントに、「激闘!NAMCOアイドルサッカーフェス2013」というものがあり、宮尾美也も選手として参加しました。その際のエピソードの一つを引用します。

じ~~っと相手の動きを見ているとどこにパスが行くのかわかるので、パスカットは得意かもしれません~。じ~~っと見ます!

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「視力が良い」という特技を活かしたエピソードではありますが、「どこにパスが行くのか」ということは、ただ視力がよいだけではわかりません。 そのためには、ただ見るだけはなく、観察し、予測を立てなければなりません。それができる能力は、「洞察力」に他なりません。

他にも、宮尾美也の洞察力を裏付ける要素はあります。
宮尾美也の趣味は囲碁・将棋ですが、その実力はなかなかのもののようです。 高木社長ともよく将棋を指しているようですし、ミリシタのイベント「虹色letters」のコミュでは、美也がいつも通っている将棋・囲碁センターの中では、美也が一番強い、と店主に評されるシーンがあります。
将棋で勝つには、盤面の状況を把握し、この先どのようになるのか、予測を立てることが必要です。観察して、予測を立てる。将棋で培った力も、「洞察力」に通じているのだと思います。

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宮尾美也の幸福観

ここまで、「ふわりずむ」のテーマの一つに「セレンディピティ」が含まれていること、宮尾美也は「セレンディピティ」に必要な「洞察力」を備えていることを見てきました。

これをもとに、宮尾美也の幸福観を考えていくと、どうなるでしょうか。もちろん、「セレンディピティ」が軸になることは間違いありません。 しかし、宮尾美也はアイドルです。「セレンディピティ」は宮尾美也の個人的な信念、資質に過ぎません。アイドルは、自身の存在を世界に伝えねばなりません。 宮尾美也は、どのようにして「セレンディピティ」を伝えているのでしょうか。

ここで重要になるのが、宮尾美也のソロ1曲目、「ハッピ〜エフェクト!」です。
ハッピ〜エフェクト!のなかからいくつか歌詞を抜粋してみましょう。

  • そうやってれば、いつだってとっても平和なんですよ〜
  • あしたもぜったいにHAPPY DAY!
  • だからどこだってHAPPY PLACE!
  • 世界はぜったいにHAPPY DAY! いつだって!!

軽やかな曲調に反して、「いつだって」「どこだって」「ぜったいに」などとやたらと強い言葉がポンポン飛び出しています。 ハッピ〜エフェクト!は、宮尾美也の日常を歌っていると見せかけて、「世界をぜったいにHAPPYにする」という強い決意が込められた曲なのです。

では、世界をぜったいにHAPPYにしたい宮尾美也は、どうやって世界をHAPPYにするのでしょうか。それもハッピ〜エフェクト!の中に答えがあります。

幸せをおすそわけ、となりのスマイル増やしましょう〜
笑顔のバトンをみんなで繋げて、
世界をHAPPYにしちゃいましょう〜

似たような表現はハッピ〜エフェクト!の随所に散りばめられていますが、一番わかりやすいと思われる箇所を選びました。
自分の得た幸せを「おすそわけ」して、隣の人を笑顔にしよう、隣の人がそのまた隣の人におすそわけをすれば、世界はHAPPYになるという寸法です。

宮尾美也の「セレンディピティ(偶察力)」をもってすれば、どんな状況であろうとも幸せを見出すことは可能、それを皆が隣の人におすそ分けリレーしていけば、世界はぜったいにHAPPYだよねというわけです。

おわりに

もともとこんなに量を書くつもりはなくて、「ふわりずむはセレンディピティの曲だね」ぐらいでサラッと終わる予定だったのですが……
欲張って「幸福観」などという大それたテーマに手を出してしまいました。長くなってしまいましたが、楽しんでいただけたなら幸いです。

明日はちとりさんが「Twilight Skyと多田李衣菜」について語ってくれるようです。トワスカは10thの光景がすごく印象に残っています……。どんな記事になるのか楽しみです。

宣伝コーナー

THE IDOLM@STER LIVE THE@TER HARMONY 06 アイドルマスター ミリオンライブ!

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*1:3曲語る予定でしたが、テーマと時間と分量の都合で「初恋バタフライ」は入りませんでした。初恋バタフライはいいぞ。

*2:個人的には「ありふれてるの」に宮尾美也ソロパートが割り振られているのがとてもエモいです。

*3:実際のところ、ふわりずむよりオーディナリィ・クローバーのほうがストレートにセレンディピティを歌っています。その分、ふわりずむにはセレンディピティの他も語るべきことがたくさんあるのですが、それはまた別の機会に。